
あけましておめでとうございます。
川口市の斉藤司法書士事務所です。
年末年始などの帰省でご実家に戻ったとき、「相続はまだ先」と思っていても、実は“今のうち”に確認しておくと将来が一気にラクになるポイントがあります。
特に重要なのが、
2024年4月から始まった「相続登記の申請義務化」です。
相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記申請が必要になり、正当な理由なく放置すると10万円以下の過料の対象になり得ます。さらに重要なのは、2024年4月以前の過去の相続も対象であり、猶予期限(2027年3月31日)が迫っている点です。
この記事では、司法書士が現場で実際によく受ける相談をもとに、
「帰省のついでに30分でできる相続準備」
をチェックリスト形式でまとめました。
「親が元気なうちに、何をどう話せばいいかわからない」
という方のための会話の切り出し方もご紹介します。
※義務化の制度全体は、当事務所の解説記事もあわせてご覧ください
→「相続登記の義務化」解説はこちら
目次

帰省中にいきなり「相続の話」をするのは気が引けるものです。
しかし、義務化という「法律の事情」を逆手に取れば、スムーズに切り出せます。
「最近ニュースで見たんだけど、法改正で『実家の名義変更』が義務化されたらしいよ。昔の土地でも罰金があるみたいだけど、うちは大丈夫かな?」
「近所の○○さんの家、ずっと空き家だけど大変そうだね。うちも権利証とか、保管場所だけでも分かってる?」
「あなたが亡くなったらどうする」と迫るのではなく、
「法律が変わったから確認したい」
「手続きで損をしないために協力してほしい」
というスタンスで話すのがコツです。

帰省で見つけたいのは、まずこの3つです。見つかる/見つからないが分かるだけで、準備は大きく前進します。
仏壇の引き出し、金庫、重要書類ファイル、タンス最下段(着物の下)
権利証は原則として再発行できません。
万が一見当たらない場合でも、登記や売却が不可能になるわけではありませんが、司法書士による「本人確認情報作成」など追加の手続・費用が必要になります。
できれば帰省中に「ある/ない」だけでも確認しておきましょう。
居間のレターケース、カレンダーの裏、書類ボックス、冷蔵庫横
不動産の“棚卸し”の入口になるからです。
通知書を見る際は、課税明細書の「地目」も見てください。
「公衆用道路」や「山林」が含まれていませんか?
これらは非課税で通知書に載ってこない場合がありますが、名義変更は必須です。川口市の場合、これらを網羅的に把握するには「名寄帳(なよせちょう)」で一覧を取るのが確実です。
・実印の所在
・印鑑登録証(カード)の所在
・(可能なら)印鑑証明書が代理取得できる状態か
印鑑登録証明書は、本人の印鑑登録証があれば代理人でも請求可能です。
一方で、親御さんが認知症などで判断能力を失うと、委任状作成や意思確認が難しくなり、売却や遺産分割協議などの手続きが止まるケースが出てきます。
今後発生するさまざまな手続きには、厳格な本人確認手続きが要求される場面が増えています。
その際は「顔写真付きの身分証明書」が要求されます。
運転免許証を返納したり、そもそも所持していない方は、ぜひ「マイナンバーカード」を作成してください。
申請から交付までに一定の期間を要するため、あらかじめ作成しておくことをお勧めします。
→川口市マイナンバーカードについて
ちなみに、マイナンバーカードを取得することで、以下のようなメリットがあります。
・各種行政手続きのオンライン申請が可能
・住民票の写し等のコンビニ交付サービスの利用
・健康保険証としての利用
・本人確認書類として幅広く利用可能

川口市内の古い戸建でよくあるのが、過去に増築したのに登記(建物の表示・床面積など)が更新されていないケースです。 いざ売却や相続登記をしようとした段階で発覚すると、追加の「建物表題変更登記」が必要になる場合もあり、決済・引渡しが遅れる原因になります。
ここが見落としがちな重要ポイントです。 川口市の住宅地では、家の前の道路が公道ではなく、近隣住民で持ち合う「私道(しどう)」であるケースが非常に多いです。
よくあるトラブルが、「自宅の土地建物は親名義に変えたが、私道の持分(数平米)だけ祖父名義のままだった」というケース。 これに気づかずに売却しようとすると、私道部分だけ名義が変えられず売却できなかったり、ガス・水道工事の承諾が得られなかったりします。「うちの前の道は誰のもの?」を確認するのも、立派な相続準備です。
義務化により、過去の相続分も整理が必要になる場面が増えています。放置期間が長いほど、ネズミ算式に相続人が増え、遺産分割の合意形成が困難になります。
→「放置された土地をめぐる典型的なトラブル事例と相続登記の重要性」

最近急増しているのが、「通帳のないネット銀行」や「スマホ証券」のトラブルです。
家族が口座の存在に気づかず、
遺産分割が終わった後に発見されて「やり直し」になる事態も起きています。
・利用している銀行名・証券会社名
・スマホのロック解除コード(またはパスワードの保管場所)
これらをエンディングノートやメモに残してもらうよう、お願いしておきましょう。

固定資産税通知書を写真で保存。なければ川口市役所で「名寄帳」の取得を検討しましょう。
何がどこにあるかを確認し、見つからないものは「見つからない」と記録するだけで、後で探す範囲が狭まります。
判断能力が落ちると手続きが止まるリスクを共有し、早い段階で遺言や成年後見等の選択肢を比較検討しておくのが安全です。

A. 権利証は再発行できません。ただし、見つからない場合でも登記・売却が不可能になるとは限りません。状況により対応策(事前通知制度や本人確認情報作成など)が変わるため、まずは「いつの登記の書類か/本人確認が取れるか」を一緒に整理しましょう。
A. 川口市では「名寄帳(なよせちょう)」の交付案内があります。名寄帳を取得すれば、ご両親が川口市内に所有する不動産(非課税の私道含む)を一覧で確認できます。申請できる方、委任状の要否、手数料(無料)も市が示しています。
A. 判断能力の程度によります。判断能力が不十分だと、委任状や売却の意思確認が難しくなります。早い段階で、遺言や後見等を含めた選択肢を検討することが重要です。
A. 可能です。現在の相続登記はオンライン申請や郵送対応で進められるケースが多く、遠方にお住まいの方からのご依頼も多数承っております。
A. 原則は「相続で取得したことを知った日から3年以内」です。また、2024年4月以前の相続については、経過措置として2027年(令和9年)3月31日までという猶予期限があります。

相続対策は、いきなり名義変更をすることではありません。
まずは
①不動産の全体像(名寄帳等)
②重要書類の所在
③認知症前の意思決定 を押さえるだけで、将来の相続登記・売却がスムーズになります。
「うちの場合、何からやればいい?」という段階で大丈夫です。
登記簿の調査から、必要書類の洗い出し、私道や境界の確認まで、川口市の地域事情に詳しい当事務所がサポートいたします。