
「母も相続人の一人だけれど、認知症が進んでいて話し合いが難しい…」
「実家の相続登記をしたいのに、家族だけで進めてよいのか分からない…」
このようなお悩みは、川口市でも少なくありません。
ご家族のことだからこそ、何とか身内だけで進めたいと思われるのは自然なことです。しかし、相続人の中に判断能力が十分でない方がいる場合、通常どおり遺産分割協議をしてしまうと、後からその協議の有効性が問題になることがあります。
また、不動産がある場合には、相続登記の期限も意識しなければなりません。相続登記は2024年4月1日から義務化され、原則として相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請が必要です。
ご安心ください。相続人に認知症の方がいても、相続手続きがまったくできなくなるわけではありません。大切なのは、そのまま遺産分割協議をしてよいケースなのか、成年後見などを検討すべきケースなのかを、最初にきちんと整理することです。
この記事では、川口市・蕨市・戸田市で相続手続きを進める方に向けて、次のポイントをできるだけ分かりやすく解説します。
なお、川口市・蕨市・戸田市に住所がある方の成年後見等の申立先は、さいたま家庭裁判所本庁です。
目次


遺産分割協議は、相続人全員で「誰がどの財産を相続するか」を決める大切な法律手続きです。そのため、相続人の一人でも、協議の内容を理解して判断することが難しい状態であれば、有効な合意ができていないと判断される可能性があります。
よくあるのが、次のような誤解です。
しかし、家族だからといって、当然に本人の代わりに遺産分割協議をしたり、署名押印したりできるわけではありません。相続は大切な財産に関わる手続きですので、ご本人の権利を守るためにも、法的に適切な方法で進める必要があります。
→ 遺産分割協議書そのものの役割や注意点は、「【川口市民向け】遺産分割協議書は自分で作れる?国税庁のひな形で失敗しないための注意点」でも詳しく解説しています。

ここは、とても大切なポイントです。
ご相談の中では、「認知症と診断されていたら、必ず成年後見をつけないといけませんか?」と聞かれることがあります。
ただ、実際にはそう単純ではありません。家庭裁判所の手引きでは、判断能力の程度に応じて、次のように整理されています。
判断能力が欠けているのが通常の状態の場合です。後見人は、日常生活に関する行為を除く多くの法律行為について、本人を代理したり取り消したりすることができます。
判断能力が著しく不十分な場合です。保佐人の同意が必要となる法律行為があり、必要に応じて代理権を付けることも検討されます。
判断能力が不十分な場合です。本人の同意のもと、必要な範囲で同意権や代理権を付けて支援する仕組みです。
つまり、相続の場面では、単に「認知症の診断名があるかどうか」ではなく、その方が遺産分割の内容を理解して判断できる状態かどうかが重要になります。

相続の現場では、次のような場面で成年後見などの検討が必要になりやすいです。
たとえば、次のような内容を決める場合です。
このような場合は、相続人全員が有効に協議へ参加できることが前提になります。相続人の一人が十分に判断能力を有していないのに協議を進めると、後でトラブルになるおそれがあります。
不動産を「配偶者一人の名義にしたい」「長男だけが相続したい」という場合、多くのケースで遺産分割協議が必要です。
相続人の中に認知症の方がいる場合、この段階で手続きが止まりやすくなります。
→ 相続登記に必要な書類全体は、「【川口市版】相続登記の必要書類一覧・チェックリスト完全版」も参考になります。
相続は、不動産の名義変更だけで終わるわけではありません。預貯金の解約、証券口座の名義変更、場合によっては相続不動産の売却まで含めて考える必要があります。
→ 売却も視野に入っている場合は、「【川口の実家売却】相続登記が終わらないと売れない?よくある落とし穴を司法書士が解説」もあわせてご覧ください。

相続人に認知症の方がいると、「何も進められない」と感じてしまう方もいらっしゃいます。しかし、実際には、先にできることがあるケースも少なくありません。
被相続人が有効な遺言書を残していて、不動産を誰が相続するかが明確に定められている場合は、遺産分割協議をしなくても進められることがあります。
→ 遺言書の基本は、「【川口市民向け】遺言書で家族を守る|後悔しない3つの種類・費用・無効回避の全知識を司法書士が徹底解説」でも詳しく解説しています。
今すぐ単独名義にできなくても、相続登記の期限を意識して、まずは法定相続分での登記を検討する余地がある場合があります。
→ 相続発生後の全体像は、「【川口市民向け】相続が起きたらまず何をすべき?手続きの全体像と期限・必要書類を司法書士が解説」で確認できます。
遺産分割がまとまらない、戸籍収集に時間がかかる、相続人が多いなどの事情で、期限までに通常の相続登記が難しい場合には、相続人申告登記の検討余地があります。
→ 詳しくは、「相続登記に間に合わない…」ときの相続人申告登記とは?要件・手続き・必要書類・注意点を司法書士が解説をご覧ください。
「成年後見が必要か」だけを考えるのではなく、今の状況で先に動ける手続きがあるのかを整理することが、時間と手間のロスを防ぐポイントになります。

次に、遺言書があるか、不動産がどのような名義になっているかを確認します。有効で適切な遺言書があれば、そもそも遺産分割協議が不要な場合もあります。
認知症といっても程度はさまざまです。そのため、遺産分割の意味や内容を理解して判断できる状態かどうかを確認し、必要であれば医師の診断書なども踏まえて、後見・保佐・補助の検討へ進みます。
本人住所地が川口市・蕨市・戸田市であれば、申立先はさいたま家庭裁判所本庁です。管轄は、原則として本人の住所地で決まります。
ただし、いったん成年後見制度を利用すると途中でやめることはできません。本人が生きている限り制度利用が続くため、そもそも後見制度を利用する必要があるのかは慎重に検討する必要があります。
成年後見等の手続きが必要なケースでは、選任後に遺産分割協議や相続登記へ進みます。一方で、遺言書や法定相続分で対応できるケースでは、成年後見の申立て前に進められる部分もあります。
相続人に認知症の方がいる場合は、「後見を申し立てれば全部解決」と考えるのではなく、次の3点を最初に整理することが大切です。
特に、実家の売却予定があるケースや、相続人が多いケースでは、早めに全体像を確認しておくと、その後の手続きがかなりスムーズになります。

ご本人の権利に関わる以上、家族だから当然に代わりができるわけではありません。この点をあいまいにしたまま進めると、遺産分割協議書や登記の手続きで大きな問題になるおそれがあります。
後見人は、申立てのきっかけとなった遺産分割協議だけをすれば業務終了ではありません。その後の本人のために広く活動する義務を負います。また、原則として、本人の持分が法定相続分を割り込むような遺産分割協議はできません。
申立てをするときに家族を候補者として記載しても、裁判所がそのまま選任するとは限りません。裁判所が自らの判断で、弁護士や司法書士を選任することもあります。


Q1.相続人に認知症の方がいても、相続登記はできますか?
はい、できます。ただし、遺産分割協議が必要な形で進めるのか、法定相続分でいったん登記するのか、相続人申告登記を使うのかで進め方が変わります。相続登記の期限を意識しつつ、今どの方法を取るべきかを整理することが大切です。
→ 期限対応の制度は、「相続登記に間に合わない…」ときの相続人申告登記とは?要件・手続き・必要書類・注意点を司法書士が解説も参考になります。
Q2.認知症なら、必ず成年後見が必要ですか?
必ずではありません。実際には、判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助のどれが適切かが検討されます。
Q3.川口市・蕨市・戸田市の人は、どこの家庭裁判所ですか?
本人住所地が川口市・蕨市・戸田市であれば、原則としてさいたま家庭裁判所本庁です。
Q4.認知症の相続人がいると、かなり長引きますか?
ケースによりますが、通常の相続よりも確認事項が増えやすいのは事実です。特に、遺産分割協議が必要かどうかの判断や、戸籍収集、家庭裁判所の手続きが絡む場合は、早めの着手が重要です。
→ 相続全体の流れは、「【川口市民向け】相続が起きたらまず何をすべき?手続きの全体像と期限・必要書類を司法書士が解説」もご参照ください。

相続人に認知症の方がいる場合、「とりあえず家族で話をまとめてしまおう」「まずハンコだけもらおう」という進め方はおすすめできません。
大切なのは、次のポイントを整理することです。
特に、川口市・蕨市・戸田市で不動産相続を伴う場合は、相続登記の期限と、さいたま家庭裁判所本庁の管轄を踏まえて、早めに全体像を把握することが重要です。
「相続人に認知症の家族がいて、このまま進めてよいのか分からない」
「実家の名義変更をどう進めればよいか迷っている」
そのような場合は、無理にご自身だけで判断せず、まずは状況整理から相談することが大切です。