交通事故で寝たきりとなった息子の成年後見人だった父親が息子の財産を着服し、親族関係にあることが量刑判断で有利な事情になるかどうかが争われた事件の上告審で、最高裁第2小法廷は9日の決定で、「酌むべき事情として考慮するのは相当ではない」との初判断を示した。
その上で、業務上横領罪に問われた埼玉県幸手市の無職男の上告を棄却した。懲役3年の実刑とした1、2審判決が確定する。
未成年後見のケースでは、最高裁は2008年、親族間の窃盗などで刑が免除される刑法の特例「親族相盗」は適用されないと判断している。弁護側は「法は家庭に立ち入らないという特例の趣旨を踏まえれば、量刑上配慮すべきだ」として執行猶予を求めたが、今回の決定は「後見には公的な性格があり、財産を誠実に管理すべき義務がある」として退けた。
1、2審判決によると、男は04年、息子の後見人になったが、06~07年、息子の預貯金から約930万円を着服し、馬券や家電製品の購入などに充てた。
(平成24年10月11日 読売新聞掲載)
このところ、後見人の横領事件が後を絶ちません。家族が後見人を務めると、自分の財産と被後見人の財産の区別がつかなくなってしまうのかもしれません。翻って見るに、弁護士や司法書士の横領も散見されます。効果のある対策が待たれます。